自転車をスモールステップで練習!│課題分析のススメ
みなさんはスモールステップという言葉をご存知ですか?
普段の生活の中でも時折耳にする言葉ですが、とても大事な言葉ですよね。
スモールステップには大きくメリットが3つあります。
- 失敗経験を避けやすく、成功体験を積みやすい
- 課題分析をすることで、つまづいているポイント(課題)がわかりやすい
- どの人でも教えやすい
失敗経験を避けやすく、成功体験を積みやすい
一度失敗経験をすると、二度とやらなくなってしまう場合があります。
この傾向は、発達障害の特性を持つ子どもほど強いです。
一般的には『失敗は成功の母』『七転び八起き』などの言葉もありますが、これらの言葉は失敗をうまく処理できる場合に限るでしょう。
ただでさえ失敗すること自体、大好きという人は少ないと思います。
失敗することにはネガティブな感情が必ず伴うからこそ、『失敗しても大丈夫だよ』ということを『失敗は成功の母』『七転び八起き』という言葉でこれまでの人々は伝えようとしたはずです。
しかしながら、自閉症などの発達障害の特性がある場合、過去の失敗体験をいつまでも強く記憶していたり、徹底的に失敗した出来事を避けようとすることが明らかにされています。
スモールステップで失敗体験をさせずに成功体験を積ませていく理由は、ここにあるのです。
課題分析をすることで、つまづいているポイント(課題)がわかりやすい
いきなりですが、カップラーメンを作る手順を考えてください。
作るカップラーメンはみなさんがよく知っているカップヌードルにしましょう。
作って食べるまでの手順を考えてくださいね。
・・・考えましたか?
みなさんの考えた手順が10以上の手順であればかなり細かく考えることができているでしょう。
正解はありませんが、参考までにわたしが考えた手順を発表します。
- カップヌードルの底についているテープを取る
- テープはテーブルに貼っておく
- カップヌードルのビニールを破く
- 蓋を開ける
- 電気ポッドに水を入れる
- スイッチを入れる
- お湯が沸いたらカップヌードルにお湯を注ぐ
- テーブルに貼っておいたテーブで蓋をしめる
- 3分のタイマーをかける
- 箸を用意する
- タイマーがなったら蓋を開ける
- 箸で食べる
いかがでしょうか?このぐらい細かく考えることができましたか?
このように、一つの目標とする行動(課題)を、細かい複数の行動(課題)に分けることを課題分析といいます。
先程はカップヌードルを作るという行動を、複数の行動に分けたわけです。
課題分析をすることで、達成しやすいところから取り掛かることができます。
もしつまづきかけたとしても、課題分析したものを表にまとめて、それを子どもとスタッフの2人で見ながら取り組むのでどこが難しかったのかの理解がしやすくなります。
スモールステップで取り組む場合は課題分析をしてから取り掛かるので、とても簡単なところから成功体験を積みつつ始められますし、失敗を予防することもできますよ!
課題分析のコツは、一つの目標とする行動を客観的・具体的に一つひとつの行動に分けていくことです。
分けられるだけ分けてください。分ければ分けるほど簡単に取り掛かることができますし、難しいポイントを見つけることもできます。
何かに取り組んだり練習したりする場合には、スモールステップは必須といえるでしょう。
どの人でも教えやすい
特定のスタッフでなければ教えられないとすると、子どもからすると大変です。
「山田先生はこう教えてくれるのに、佐藤先生は教えてくれない」
「先生はこう言ってるのに、お母さんは違うことを言ってる」
人によって教えられ方が違うと、子どもは混乱します。
誰の言っていることを信じれば良いのかわかりません。
しかし、教えることを課題分析してその子どもに関わる人達で共有しておけば、教えるポイントがずれることはなくなります。
教えるポイントがずれないので、子どもは混乱せずに取り組むことができますよね。
自転車を課題分析で練習する
自転車にいきなり乗り始めることは難しく、小さい頃は転びながら覚えていった人も少なくないでしょう。
しかし、一度転んで痛い経験をしたり、『失敗した!』と強く感じてしまった場合、今後一切取り組もうとしなくなる子もいるのです。
オーケストラでは、失敗体験への配慮をしながら自転車に乗れるようになるために、課題分析をしてからスモールステップで取り組んでいます。
自転車に乗ることを目標の行動とした場合、課題分析をして最初に取り組む課題は何になると思いますか?
何度も言うように絶対の正解はありませんが、オーケストラでは「自転車に近づくこと」としました。
自転車に乗るためには、まず近づかなければいけませんよね?
写真の男の子は自転車に乗ることに対してあまり興味がなかったこともあり、自転車に近づくことを最初の課題にして取り組みました。
今では自転車に跨り、利き足である右足でペダルを上げるところまで来ています。
ボールパークができたらみんなで一緒に自転車で行こうという話をしています。
乗れるようになる日も近いです。楽しみですね!
まとめ│課題分析のススメ
課題分析を用いて課題に取り組むことは、失敗に敏感だったり、避けようとしたり、過去の嫌な記憶をフラッシュバックのように思い出してしまう子に最適な方法です。
ぜひ課題分析で子どもの成功体験をサポートしてあげてくださいね!
おまけ│自転車の課題分析
- 自転車に近づく
- 自転車の左側に立つ
- 右手で右ハンドルを握る
- 左手で左ハンドルを握る
- スタンドを右足で蹴り上げる
- 右足を上げてサドルを跨いで地面に足をつける
- サドルに座る
- 両手でブレーキを握る
- 左足で自転車と自分の体を支える
- 右足でペダルを踏み込みやすい位置まで上げる
- ブレーキを緩め、右足でペダルを踏み込む
- 左足を地面につける
- 両手でブレーキをする
- 左足でペダルを踏み込みやすい位置まで上げる
- ブレーキを緩め、左足でペダルを踏み込む
- 右足を地面につける
- 両手でブレーキをする
右足でペダルを踏む、止まる、左足でペダルを踏む、止まるは慣れるまで何度も繰り返しますし、最初の①~⑤を繰り返すこともあります。
何れにしても、客観的に誰が見てもわかるように課題を分け、子どものペースで練習していくことが大切ですよ。